合成皮革と天然皮革の違いについてご存知ですか?
なかなか見分けにくいこの2つの素材。
靴を長持ちさせるには正しい知識を身に着けて、靴を履き分けることが重要です。
▲左が本革、右が合成皮革です。
合成皮革とは?
合成皮革とは、人工的に革に似せて作られた素材を指します。
フェイクレザーや合皮など種類や呼び方は様々です。
レザーや革という言葉が含まれていますが、天然のものではありません。
布地に合成樹脂を塗って革に似た質感をもたせたもので、
合成樹脂の素材によってPU(ポリウレタン樹脂性)レザー、PVC(塩化ビニル樹脂性)レザーと呼び方も変わります。
合成皮革のメリット
1.雨など水やキズに強い
合成皮革は、天然皮革に比べて雨や水、そしてキズに耐性があります。ランドセルや学生用ローファーなどに多く使われていることから実用性の高さがわかりますね。
2.手入れがほとんど必要ない
合成皮革は天然皮革と比べて汚れや雨に強いため、ほとんど手間がかかりません。
革ならクリームを塗らないといけないと思われる方もいますが、
合成皮革にクリームを塗ってもほとんど意味がない為、必要ありません。
3.天然皮革よりも安い
一般的に、天然皮革よりも安価なものが多いです。もちろんものにはよりますが、安価で手軽に手に入るのは大きな魅力です。
合成皮革のデメリット
1.伸びにくい
靴屋で働いていると、「ちょっときついけどそのうち伸びますよね?」という質問をいただきます。合成皮革とは布地を合成樹脂(塩化ビニール、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどを含む)でコーティングしたものです。
コーティングをした結果、柔軟性はほとんどなくなりますので、基本的には伸びないと説明させていただいています。
2.蒸れやすい
「1.伸びにくい」で言ったようにコーティングを施しているものなので、通気性が悪く蒸れやすいです。できれば毎日同じ靴を履くのではなく、何足かでローテーションをすることで靴が臭くなるのを防ぐことができます。
3.ひび割れが起こる
経年劣化でひび割れが起きます。天然皮革とは?
天然皮革とはその名の通り、動物の皮を使用した素材です。
天然のものなので、毛穴や血管筋などが見えます。
元の動物の種類や年齢によって、革の質感や呼び方が変わります。
ちなみに、「皮」は加工前、「革」は加工後のことを指します。
天然皮革のメリット
1.足に合わせて伸びる
天然の革を使用しているので人間の皮膚と同じように伸びます。
伸びると言っても、1cmや0.5cm伸びるわけではありません。
あくまでサイズはジャストフィットを選ぶのがおすすめです。
2.耐久性が優れている
合成皮革と比べて柔軟なため手入れをすれば、表面がひび割れたり、乾燥で脆くなったりといったトラブルは防げます。手入れをしっかりと行えば、長い間愛用していただけます。
3.通気性が合皮とくらべて高い
「人間の肌のように革も呼吸している」と言われます。
お肌と同じように、手入れをしなければ乾燥し、保湿をすれば潤います。
靴に使用されている天然皮革は人間の肌と同じで、
立体的な構造で水分を吸収・発生させるので汗を吸ったり分散させたりといった効果を持ちます。
4.エイジングが楽しめる
天然皮革の醍醐味といえばエイジングです。「いい味が出る」とも表現される、いわゆる「経年変化」。
色味やツヤ感が変化し、愛着も湧きますね。
天然皮革のデメリット
1.雨など水に注意
天然皮革は濡れると、シミになったり傷んだりと雨の日の扱いが難しい素材です。オイルレザーなど雨に強い革もあります。
2.手入れに手間が必要
天然皮革は手入れをしないと劣化してしまいます。
大切にお手入れしてあげると長持ちして自分にしっくりくるエイジングが楽しめます。
合成皮革と天然皮革の差がわかれば靴選びもよりこだわったものになりますね。
素材の利点も見極めて、毎日の靴選びも新鮮になりそうです。